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2008年1月13日 (日)

28冊目 古王国記 サブリエル

古王国記Ⅰ、「サブリエル」 (副題「冥界の扉」、ガース・ニクス著、主婦の友社)をご紹介します。 本の帯には、 「ダークファンタジーの最高傑作」と評されていますが、世界設定や魔力をもったベルを武器として戦うアブホーセンなどのキャラクターがとてもユニークで、出版社がちょっとマイナーなのでなかなか本屋で見つけづらいですが、ファンタジーファンの方にはぜひお薦めしたい一冊です。

「サブリエル」ガース・ニクス著、主婦の友社  

 

 

 評価:星4つ ★★★★

ダークファンタジーとありますし、確かに死霊やらネクロマンサーやら冥界などが出てきますけれど、それほど暗くてじめじめした話でもないと思いますので誰が読んでも楽しめるのではないでしょうか? 評価も星5つに惜しくも届かずといった高評価。

まず、世界設定ですが、アンセルスティエールという20世紀前半のヨーロッパを連想させる通常の世界と、古王国と呼ばれる魔法の世界が巨大な壁を境に存在する形になっています。

壁は強力な魔法の壁で門を通る以外ほとんどの者を阻みます。 また、門はアンセルスティエールの軍隊が防衛しています。 車や電気機器などの近代文明の物は古王国内ではまったくの無力で、すぐに壊れてしまう一方、魔法はアンセルスティエールでは使用できなくなってしまうというちょっとご都合主義な設定です。

古王国は王が不在で摂政が治めていましたが、今では音信不通で中に入って生きて戻ってきた者はいないと言われるようになってしまっています。

そんな中、主人公のサブリエル古王国出身でありながら、アンセルスティエールの学校に通っています。 学校は壁に近いので魔法も多少使うことができるのです。

昼は普通に勉強し、夜は父親から魔法的な手段での連絡を待って魔法を学んでいたが(ネクロノミコンなんてものを読んで勉強しています・・・)、あるとき父親からの連絡が途絶えてしまいます。

最後に受け取った魔法の剣とネクロマンサーのベルを手に、アブホーセンと呼ばれる父親の消息を確かめに死霊がはびこる古王国へと踏み出していく・・・というのが物語の出だしです。

ここでアブホーセンについて説明すると、ネクロマンサーと同等の技を身に着け、ネクロマンサーに対抗し、死霊を冥界に追い返すというとても危険な職業です。

ベルは全部で七つあり、一番目のベルは聴く者を眠りに誘う「ランナ」、二番目は眠りを呼び覚まし死者すら起こす「モスラエル」、三番目は聞く者を操り動かす「キベス」、四番目は声を与え秘密を暴き逆に声を奪うこともする「ダーリム」、5番目は思考を操る「ベルガール」、6番目はアブホーセンがよく使う死霊を縛り付ける「サラネス」、7番目の最終のベルが「アスタラエル」で哀悼のベルと呼ばれ、最も強力で音色を聴く者全て(鳴らした本人も!)を冥界の奥底へ追いやってしまう。

それぞれのベルに癖があり、使い方を誤ると手痛いしっぺ返しがあるのですが、このベルが物語の中で重要な役割を果たしますし、面白い部分です。

さらに、死霊と戦うアブホーセンは冥界にも降りていきます。 冥界は第1層から9層まであり、それぞれの層に違う罠があり、奥へ行くほど危険は増していきます。 ここではベルと死霊の書の知識だけが武器となります。

他にも、チャーター魔術という、古王国で一般的に使われる紋章術のような魔法や、フリーマジックという使用する者の舌を焼き、心を腐らせる闇の魔術も存在して、慣れるまで分かりづらいところがあります。

また、途中でサブリエルと行動を共にするモゲットという喋るネコが皮肉屋で物語にスパイスを与えています。 猫だけに(?)気分屋で謎めいたところもあり、時にはサブリエルにも牙をむいてきます。 本当の正体が明かされるのは古王国記Ⅲ「アブホーセン」まで待たなければなりません。

物語中盤では二百年も昔から石像にされていたタッチストーンと名乗る青年も仲間に加わり、古王国を支配する闇を追い払うために、強大な敵と戦うことになっていくのです。

近代文明世界と魔法の世界を行き来する物語なので「ハリーポッター」を連想するかもしれませんが、読んでみるとそれほど共通点はありません。 壁の付近では魔法の存在も認知されていて、死霊と軍隊の戦闘シーンもあります。 それでいながら、陳腐な内容になっていないところが絶妙なバランスですね。

サブリエルの物語はこの上下2巻で終わり(物語には出てきます)、古王国記Ⅱ「ライラエル」Ⅲ「アブホーセン」ではライラエルという女性が主人公となって活躍します。 ライラエルと行動を共にするのは犬で、これも話すし、見た目通りの存在ではありません。 説教好きですが犬だけに(?)モゲットと違って忠実です・・・。 こちらもファンタジーファンなら見逃せません。

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古王国記Ⅰ「サブリエル」(上巻)

古王国記Ⅰ「サブリエル」(下巻)

古王国記Ⅰ「サブリエル」(ハードカバー)

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