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2007年5月 4日 (金)

24冊目 ハゲタカ

「ハゲタカ」真山仁著)はテレビ化されて、2月から3月までNHKで土曜に放送していましたので知っている人も多いと思います。 テレビの方は結局あまり見れなかったのですが、原作の方を読んでみました。

ハゲタカ 真山仁著

 

 

 

評価:星4つ ★★★★

テレビの方は少し見た限りでは、銀行員の柴野とファンドマネージャーの鷲津が以前銀行で上司・部下の関係で、その時の因縁やバブル期の中小企業苦しさなどが前面に出され、原作にはいなかった女性記者を加え、何か人情物の様なストーリーになっていたように感じました。

原作の方は上・下巻でボリュームもあり、柴野鷲津を中心にしながらも、鷲津を師と仰ぐ、米投資銀行のリン・ハットフォードアラン・ウォードや、伝統あるミカドホテルを所有する松平家一族などの様々な人物が、バブル後の激動の人生を歩んでいく様子が語られます。

バブル崩壊はどのようにして起こったのか、ハゲタカと呼ばれた外資系ファンドの実態はどのようなものだったのかが、銀行側、企業側、ファンド側とそれぞれからの視点で描かれています。

もちろん、ノンフィクションではありませんが、実際の出来事を絡めていて、現実味があって迫力があります。 当時マスコミで盛んにバブルについて、政府が悪い、行政が悪い、貸し渋りをする銀行が悪い、ハゲタカ外資にいいように買い叩かれているなどの批判が報道されていましたが、この本を読むとまた違った一面が見えてくる気がします。

「世の中全体がバブルに浮かれていた」 「無理に貸した銀行が悪い」、確かにそれもあるでしょう。 でも何か他のものに責任転嫁する日本人の悪い癖が出ていないでしょうか?(一応断っておきますが、私は銀行員でも金融業者でもありません・・・あしからず(w

物語は、アメリカでピアニストを目指していた鷲津政彦が日本からある知らせを受けたことが原因で、再びファンドマネージャーとして金融の世界に舞い戻るところから始まります。

そして、柴野の勤める銀行でのバルクセール(多数の不良債権をパッケージ化して、投資ファンドなどに一括売却する手法)を実施する場面で二人は出会います。 バブル後増加していく不良債権の処理が銀行の課題となっていますが、まだこの時点では本当に深刻な事態になってはいない様子。 日本で始めての手法とはいえ、鷲津リンアランのグループにいいように買い叩かれてしまいます。

パッとしない風采でありながら、ゴールデンイーグルの異名のとおり狙った獲物は逃さず、困難な状況もあっと驚く手段で乗り越えてしまう鷲津。 ゴールドバーグ米投資銀行の日本法人で重職にありながら、鷲津たちと行動を共にする外国人美女、リン。 ゴールドバーグから鷲津のファンドに移籍した、大のゲーム好きで明るいアラン

この3人を中心にバブル後の日本で起こった数々の事件、山一證券や長期信用銀行、東京相和銀行、足利銀行の破綻などがフィクションを交えながらも、当時新聞やニュースで見るより臨場感のある描写で語られていきます。

一方の柴野の方は、三葉銀行を辞めた後、知り合いのスーパーを事業再生させるべく奮闘していきます。 さらに、ミカドホテル創業者の娘である松平貴子の外資ホテルでの活躍から一転、ミカドホテル再生へのつらく長い物語もあります。

これら三者が時に交わりながらもそれぞれの物語を綴っていき、バブルとは何だったのか、そして日本の抱える矛盾と闇が語られているように感じました。

この物語、フィクションということで実際の会社名などを文字っていますが、1字だけかえたようなものが多く、三葉(=三和)銀行や足助(=足利)銀行、ゴールドバーグ・コールズ(=ゴールドマン・サックス)をはじめ、すぐ想像できてしまうものが多く、それがフィクションでありながらリアリティを増していました(良いのかどうかはわかりませんが・・・)。

なお、もっと作品のモデルとなった企業等を知りたい方は、ブログ「ニッポンの東南角部屋から」にたくさん載っていました、勝手に紹介させていただきます。

ドラマでのサンデートイズは、原作では太陽製菓となっています。同族企業、バブル期の無理な不動産投資、公私混同など問題点は共通していますね。 ただ、太陽製菓のお菓子が「ハニーコーン」であるなど、どこの企業か分かってしまうので玩具会社に変更したのでしょう。

物語のラストで、鷲津がそもそも日本に舞い戻る切欠となった事件への復讐が果たされますが、まあ、ラストだけはちょっと弱いというか、なんとなく終わったという感じでした。

それでも中盤は手に汗握って読み進みましたし、経済や金融に詳しくない人でも十分に楽しめる作品だと思います。 次回作のハゲタカⅡ(バイアウト改題)も今読んでいますので、そのうちにご紹介します。

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