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2007年4月22日 (日)

23冊目 アークエンジェル・プロトコル

過去のお薦め本紹介からちょっと離れて、積読となっていた本を消化。 「アークエンジェル・プロトコル」という本です。 ライダ・モアハウスって著者も初めて見ました。

アークエンジェル・プロトコル ライダ・モアハウス著 ハヤカワ文庫

 

 

 

評価:星3つ ★★★

ジャンルは迷いましたが、SF扱いにしました。 でも、アメリカ私立探偵クラブ賞受賞しています。 まあ、SFとハードボイルドとファンタジーを詰め込んだ本と言ったほうが分かりやすいかもしれません。

評価も、始めは星3つをつけようかと思ってました・・・いきなり「リンク天使」とか「メデューサ爆弾」とかでてきて、さらにSF慣れしていない自分には世界観になじむのに時間がかかったからです。 でも、慣れてくると結構面白かったり・・・2作目まで読みたいかというと微妙ですが、この本自体は中盤からラストまでは一気に読んでしまいました。

世界観は、「甲殻機動隊」(士郎正宗著)の電脳化された世界とレイン」(serial experiments lain)での概念、リアルワールドワイヤードなどを連想させます。 それにミカエルをはじめ四大天使、モーニングスター(明けの明星)など宗教やファンタジーの世界もミックスされています。 あ、主人公は女刑事で凄腕ハッカーってのもなんとなく何かに似てますね・・・(w

舞台は2075年くらい?で、アメリカです。 しかし、人類の科学と戦争が「メデューサ爆弾」という恐ろしい兵器を生み出し大きな被害が出たこともあり、宗教が政治や生活を支配する世界になっています。

一方、人々はこめかみに端末を埋め込んで、直接ネットに繋がる「電脳」が普及。 ネットにつなげない貧困層や犯罪などではずされた人はその恩恵に与れません。

そんな中、リンク(ネット)の中に「天使」が光臨するという事件が起き、人々に直接イメージや感情を与える通常不可能な奇跡を起こし、ほとんどの人が本物の天使だと信じるようになります。 それがネット上に現れる神の使い、「リンク天使」と呼ばれる存在です。

やっと、あらすじですが(w 主人公のディードリはネット上の犯罪を取り締まる女捜査官でしたが、同僚の起こした事件に巻き込まれる形で解雇され、宗教上も破門となり、リンクもできなくなります。

しがない私立探偵となった彼女ですが、ある日「リンク天使」は偽者の天使なので正体を暴いて欲しいと依頼を受けます。 それがきっかけで本物の天使やら天才ハッカー「マウス」、現政府へのレジスタンスなどを交えた壮大な物語が始まるのです。

上でも述べたとおり、SFとハードボイルドと宗教(ファンタジー?)を混ぜたようなこの作品、でも決してハチャメチャなストーリーになっているわけではありません。 ハードボイルドを物語の格子に据え、世界観はSF、概念は宗教と見事に融合しているんじゃないかと思います。

オーソドックスな話に食傷気味な方、興味を持った方は一読されることをお薦めします。

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2007年4月 4日 (水)

22冊目 緊急の場合は

マイケル・クライトンと言えばジュラシックパークなどが有名ですが、本作「緊急の場合は」は著者が医学生であったころに、授業料を稼ぐために小説を書いていた頃の作品です。 ジャンルで行けば、医学系ハードボイルド?なんてものになるのでしょうか。

「緊急の場合は」マイクル・クライトン ハヤカワ文庫 評価:星3つ ★★★

ちなみに、ハヤカワ文庫ではマイクル・クライトンと表記されています。

序文にも1967年と書いてあり、ハヤカワ文庫からの出版も1993年となっていますのでかなり古い本ですね。 アマゾンでもあまり在庫がない様子。 しかし、今読んでも結構面白かったので今回ご紹介しようかと思った次第です。 当時のアメリカ探偵作家クラブ最優秀賞を受賞してますし。

主人公はベリーという病理医で、顕微鏡を覗いたりして病因などを突き止める、割と地味な感じの部署にいます。 あるとき、友人の産科医が当時のアメリカで禁じられていた中絶を行ってカレン・ランドールという患者を死なせたとして逮捕されますが、友人の無実を信じるベリーは独自に調査を始めます。

友人が密かに中絶を行っていたのは事実であるうえ、死亡したのは資産家で権力を持つ外科医の娘とあって、圧倒的に不利な状況です。 関係者の協力も得られない中、ベリーは友人を救えるのか?

カレンを殺害したのは誰かという問題もありますが、宗教上からも中絶が違法として定められていた時代の話として、現実としては生まれる前から重い障害があることが分かっていたり、暴行の末の妊娠だったりという場合もあり、何が人道的な解決なのかというテーマも取り上げています。

また、医学会の裏舞台や興味を引く専門用語の解説などがちりばめらているほか、人間の二面性、残された家族への迫害なども描かれ、ミステリー以外の部分で考えさせられる部分があり、長編ですが、最後まで楽に読めるのではないでしょうか?

マイケル・クライトン自身が認めているように、欠点は色々あるかもしれません。 例えば、犯人とラストの終わり方がいまひとつなところは否めません。 しかし、25歳の医学生が急いで仕上げたものとは思えない魅力と勢いがあり、かなり昔に読んだのですが、気に入って今でも持っている本の一つです。

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27冊目 「恐怖の存在」

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