22冊目 緊急の場合は
マイケル・クライトンと言えば、ジュラシックパークなどが有名ですが、本作「緊急の場合は」は著者が医学生であったころに、授業料を稼ぐために小説を書いていた頃の作品です。 ジャンルで行けば、医学系ハードボイルド?なんてものになるのでしょうか。
ちなみに、ハヤカワ文庫ではマイクル・クライトンと表記されています。
序文にも1967年と書いてあり、ハヤカワ文庫からの出版も1993年となっていますのでかなり古い本ですね。 アマゾンでもあまり在庫がない様子。 しかし、今読んでも結構面白かったので今回ご紹介しようかと思った次第です。 当時のアメリカ探偵作家クラブ最優秀賞を受賞してますし。
主人公はベリーという病理医で、顕微鏡を覗いたりして病因などを突き止める、割と地味な感じの部署にいます。 あるとき、友人の産科医が当時のアメリカで禁じられていた中絶を行ってカレン・ランドールという患者を死なせたとして逮捕されますが、友人の無実を信じるベリーは独自に調査を始めます。
友人が密かに中絶を行っていたのは事実であるうえ、死亡したのは資産家で権力を持つ外科医の娘とあって、圧倒的に不利な状況です。 関係者の協力も得られない中、ベリーは友人を救えるのか?
カレンを殺害したのは誰かという問題もありますが、宗教上からも中絶が違法として定められていた時代の話として、現実としては生まれる前から重い障害があることが分かっていたり、暴行の末の妊娠だったりという場合もあり、何が人道的な解決なのかというテーマも取り上げています。
また、医学会の裏舞台や興味を引く専門用語の解説などがちりばめらているほか、人間の二面性、残された家族への迫害なども描かれ、ミステリー以外の部分で考えさせられる部分があり、長編ですが、最後まで楽に読めるのではないでしょうか?
マイケル・クライトン自身が認めているように、欠点は色々あるかもしれません。 例えば、犯人とラストの終わり方がいまひとつなところは否めません。 しかし、25歳の医学生が急いで仕上げたものとは思えない魅力と勢いがあり、かなり昔に読んだのですが、気に入って今でも持っている本の一つです。
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