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2007年3月20日 (火)

21冊目 半落ち

横山秀夫著の「半落ち」ですが、しばらく積ん読く(つんどく)になっていました。 映画の話題も下火になり、完全にブームに乗り遅れましたが、最近ようやく読みました(w

評価:星4つ ★★★★

これが読み始めてみるとなかなか面白くて、2日の通勤電車で読んだ後、家で残りを一気に読んでしまいました。

物語は、現職警察官の梶総一郎がアルツハイマーの妻を殺し、2日後自首してきた事件について、刑事、検事、記者、弁護士、裁判官、そして刑務官それぞれの視点から語られます。

事件自体は単純で本人が自首していますが、殺人後自首するまでの2日間何をしていたのか、ということは黙秘を続けます。

警察内部の隠蔽体質から始まりますが、読んでいるうちに純粋に本人の空白の2日間がなんだったのか、何を待っているのかに興味が湧いてきます。

真面目で人柄の良い警官であった梶が、妻から「殺して」と頼まれてやった犯行・・・。 一度は後追い自殺を試みたものの、何処かを彷徨ってからの自首。 自首の直前に書いた「人生50年」の書。 それらが何を意味するものなのか。 それぞれの立場の人間が探ろうとします。

が黙秘する謎を次々にバトンタッチしていくような感じです。 ですが、それぞれの人にも物語があって、各章が独立した短編のようにもなっています。 謎は最後の刑務官の章で解けますが、通常のミステリのように謎を解くために読むというより、各登場人物の物語を読みつつ、それぞれの視点からこの事件を見ていくといった感じでした。

凶悪犯罪の捜査を指導するベテラン刑事と警察内部の闇、正義感に燃えるエリート検事と組織の圧力、特ダネを掴もうとする記者の挫折など個々のストーリーも読ませるものがあります。

推理することが目的ではないので、謎を独力で解くのは難しいと思いますが、最後分かった時、「ああ、そうか・・。」と哀しいながらもすっきりとした結末になっています。 映画は見てませんが、本で読んだ方が面白い話だと思います。 読んでいない方はぜひ、一読をお薦めします。

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2007年3月 8日 (木)

20冊目 呪われし者の女王

アン・ライスヴァンパイア・クロニクルシリーズの3作目、「呪われし者の女王」を今回はご紹介したいと思います。 前作「ヴァンパイア・レスタト」の最後、ロックコンサートの騒動の後にアカシャにさらわれたレスタトがどうなるのか、その続きと結末が本作で語られます。

呪われし者の女王

 

 

 

評価:星4つ ★★★★ 

呪われし者の女王とは、前作でヴァンパイア・マリウスが古代から護ってきた、全てのヴァンパイアの始祖であり、動かぬ彫像として安置されていたアカシャのことです。 

古代エジプトの時代からヴァンパイアとして蓄えた力は想像を絶するものがあり、世界中の人間の思念を受信し、天敵である太陽すら表面を焦がすにすぎません。 超高速で空を飛べる上、前作の最後でも使われましたが、念じるだけで人間やヴァンパイアを殺せるほどの力を持っています。

今まで石像のようにほとんど動かなかった彼女がレスタトに刺激され目覚めるわけですが、なぜ各地のヴァンパイアを襲ったのか、そしてレスタトをさらって何をしようとしているのか? アカシャの恐るべき野望も後半で明らかになっていきます。

上巻の前半は時間を巻き戻って、前作の最後、レスタトのコンサートに至るまでの他のヴァンパイアや人間の様子が語られます。 

アカシャの目覚めに直面したマリウスの危機とヴァンパイア達の王であったエンキルの最期。 それを助けに向かうパンドラサンティーノ。 この辺りで登場するヴァンパイアたちは前作では存在すら疑われていた伝説のヴァンパイアです。

ヴァンパイア・アルマンと元記者のダニエル(インタビューウィズヴァンパイアでヴァンパイア・ルイにインタビューした人物です)の物語。 若いヴァンパイア達がアカシャに襲われる様子。 世界中の超常現象を調査している団体、「タラマスカ」の女性調査員ジェシーの一族に関する謎。

それらの中で繰り返し現れる夢が「双子の夢」です。 それが何を意味するのか? 謎を置いたまま物語は先に進みます。

後半になると、レスタトアカシャの話と、「最初の血」と呼ばれるアカシャと並ぶ最古老のヴァンパイアの元に生き残りの他のヴァンパイアが集まり、「最初の血」、マハレが語るヴァンパイアの歴史の真実と悲劇の話が交互に繰り返されます。

そしてクライマックス、アカシャの野望を止めることができるのか? 始祖であるアカシャを傷つけたり、殺したりすれば、他の全てのヴァンパイア達にもはね返るという現実にどう対処するのか?

今回は前半(特にアルマンとダニエルの話)が長くて同性愛っぽい雰囲気だったのと、アカシャの力が強力すぎて現実離れしていたことなどもあって、前作星5つに対して4つと評価しました。

また、男性がいなければ、戦争や殺人は起こらなくなるなど、ちょっとそれは違うのでは?というテーマに対して、登場人物たちも乱暴な意見であるとしながらも半ば認めているところが違和感を覚えました・・・。 なぜって、アカシャ本人が王女として戦争と虐殺を行っていることですでに自己矛盾してるし(w

あとがきを読んで知りましたが、著者のアン・ライスは愛娘を亡くし、アルコール依存症になったところから、乗り越えて作家人生を歩んでいるそうです。 

「世の中には人の力ではどうすることもできない暗黒があり、いったんそれに捉えられてしまうと、それはそう簡単には人生から去ってはくれない。 けれど、人はやがて暗黒のなかでどうやって光を見出せばいいかを学ぶようになる。 そうなったとき、その人は光しか知らない他の人々の知ることのできない真実を理解できるようになるのだ。」とインタビューで答えているそうです。 確かにそのようなテーマがこの作品から読み取れるように感じました。

ヴァンパイア・クロニクルシリーズで始めに読んだのは、5作目の「悪魔メムノック」なのですが、まだ紹介できるのは先ですね・・・。 

そういえば、この「呪われし者の女王」は映画化されているのです。 「クイーン オブ ザ ヴァンパイア」という作品ですが、日本ではあまり話題になってませんよね? なんとなくDVD買っていたりするので、いずれDVDの紹介も書こうかと思ってます。

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14冊目 ヴァンパイア・レスタト

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