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2007年2月17日 (土)

19冊目 華麗なる一族

山崎豊子の「華麗なる一族」を人から薦められて読んだのは1年以上前でしょうか。 今はテレビドラマにもなって話題になってますし、今回はこの作品を取り上げたいと思います。

評価:星4つ ★★★★ 

山崎豊子といえば、「白い巨塔」で有名ですが、ウィキペディアから引用すれば、「社会の暗部を鋭くえぐった小説として評価を得ている一方、フィクションに実話を織り込む手法は激しい批判を浴び、また盗作疑惑もささやかれている」そうです。 いずれにしても、本作品は金融に興味のない人でも楽しめるのではないかと思います。

物語は志摩半島の英虞(あご)湾の側にある志摩観光ホテルのダイニング・ルームから優雅に始まる。 シャンデリアや金屏風、新年の装いをした華やかな人々・・・。その中でも際立っているのが、この物語の中心となる、阪神銀行の頭取万俵大介とその一族です。

最初の会話からフランス語で始まり、内容から見てもセレブな、まさに「華麗なる」と証するに相応しい一族。 阪神銀行を中核として鉄鋼・不動産など一大財閥を築き、妻は公家の血を引き、長男は阪神特殊製鋼の専務で大物議員を叔父に持つ。 長女は大蔵省の有望なキャリアに嫁いでいる。 話が進むにつれ、さらに一族は閨閥を広げていき、総理大臣の親族まで取り込もうとします。

一方で銀行の方は、大介は都市銀行唯一のオーナー頭取として、銀行大合併の激しい生き残りをかけた争いを、築いてきた閨閥と策略で切り抜けていきます。

そんな華やかな面とは裏腹に、一族の暗く歪んだ部分の象徴ともいえる存在が高須相子で、もともとは子供の家庭教師として雇われたのに、今では正妻の寧子(やすこ)と交代で大介と同衾(どうきん)し、子供の結婚相手も一切取り仕切るようにまでなっている。

さらに、大介と長男鉄平の確執、次男銀平のトラウマ、閨閥結婚の不幸と、鉄平の生きがいと言える阪神特殊製鋼の危機が相まって悲劇が訪れます。

この作品は、実在した神戸銀行や岡崎財閥、山陽特殊鉄鋼などをモデルにしたと言われています。 それだけに物語の内容が現実味を帯びており、財閥一族の内情や銀行の生き残りをかけた戦いなどの描写に、読んでいて引き込まれるような魅力があります。

作品中、万博開催のための土地買収で巨額のお金を手に入れる農家などに対し、預金獲得の銀行間の戦いの中、頭取に期待されて過大な目標を立ててしまった支店長らが農家の田植えの手伝いまでしているシーンが印象的でした。

他にも、護送船団方式の時代ならではのMOF担(大蔵省担当)や情報集める忍者のような銀行員など、バブルがはじける前の金融行政の一端が描かれ、なんだか戦国時代の物語のようだな・・と思ってしまったり。

ラストの、それぞれの人の行く末と更なる銀行間の争いの予感なども感慨深いものがあります。

上・中・下巻と3巻の長編ですが、一気に読みきってしまうほど面白かったです。 テレビドラマで興味を持った人も、原作を読んでみてはいかがでしょうか?

ドラマもいよいよ最終回ですね。木村卓也が演じているからか原作より鉄平サイドの物語になってるような・・・。

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