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2006年11月23日 (木)

12冊目 すべてがFになる

森博嗣のミステリーを読んだことはありますか? 今回は森氏の作品の中でも有名なS&M(犀川&萌絵)シリーズの第1巻となる「すべてがFになる」を紹介します。

評価:星4つ ★★★★

大学の工学部助教授の犀川は、教え子の西之園 萌絵(にしのそのもえ)らゼミのメンバーと、孤島にキャンプにやって来た。 この島には研究所があり、そこには世界的に有名な天才プログラマー、真賀田 四季博士がいるのだが、14の時に両親を殺害して以来、研究所の一角に閉じこもり、面会謝絶となっている。

しかし、犀川たちが博士の部屋の前に来たとき、部屋の扉が開き、中からウエディングドレスを着た博士の死体が発見される! 部屋に残されたコンピュータのモニターには「すべてがFになる」とのメッセージだけが残されていた・・・・完全な密室で博士を殺した者とは? そして、何を意図しているのか? 

私は普段からあまり日本人作家のミステリーはあまり読まないのですが、このシリーズは結構気に入ってかなり読んでいます。 「理系ミステリ」と評されることが多いですが、確かに数学やコンピューター、建築工学などの話題が良く出てきます。 しかし、それよりも登場人物の考え方がかなり独特なのです。 

考え方が理系というか・・・人間性を排除したその思想は、なるほど、と思えるものもあれば、受け入れがたいものもあって、色々と刺激を受け、読んでいると自分の思考も研ぎ澄まされる感じがします(大袈裟かな・・?) 。

また、パソコンやウイルスの話が出てきますが、今でこそ常識といってもいいですが、作品が書かれたのが10年位前ということを考えると、先進的だったのかも。 コンピューターウイルスは生物なのか?なんて、面白い話題ですね。 生命を定義することは意外と難しいようです。

登場人物ですが、主人公の萌絵は幼い頃亡くした両親から遺産を継ぐとともに、一族も県警のトップや県知事夫人である、言わばお嬢様ですが、謎解きが好きで世間知らずですが行動力があります。 計算力に優れていて、冒頭でも「165×3367は?」と聞かれて、すぐに暗算してしまうほどです。 推理もランダムに色々なパターンを演算していく方式・・・導かれる結論はいまいちのことが多いですが・・。

萌絵の指導教官、犀川は探偵役をこなしますが、少しクールで独特の考えの持ち主です。 普段はあまりすごい人には思えないのですが、建築工学を専門としていながら、頭脳明晰で鋭い推理で事件の謎を解きます。 もしかすると、作者がこうありたいと思う姿なのかもしれませんね。

そして本作に出てくる世界的な天才と称される、真賀田 四季も存在感があります。 真賀田 四季が主人公のシリーズも別に出ているくらい人気があるようです。

私自身、森ミステリで始めて手に取ったのはS&Mシリーズ10作目「有限と微小のパン」でした・・・。 まあ、こちらを先に読んだので、本作での真賀田 四季はちょっと稚拙な印象を受けるし、まだまだ物語全体が粗削りな感じがします。 

それでもこの後に続く作品への期待感を高めるのに十分な面白さがあります。 なんと言ってもこのタイトルのつけ方がうまいですね。 個人的にはトリックより、登場人物の台詞を借りて語られる思想などが好きなんですが。

本格ミステリや定番のストーリーにはない独特の読後感が味わえます、読んでいない人はぜひ一度手に取ってください!

第2巻 「冷たい密室と博士たち」

シリーズ最終巻(10巻)「有限と微小のパン」

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