6冊目 奇術師の密室
マジックに興味はありますか?いつも昔に読んだ本を紹介してましたので、今回は最近読んだ、リチャード・マシスン著の「奇術師の密室」をとりあげます。
この本を一言で表現するなら、どんでん返しの連続!です。展開もスピーディーで、100ページまで一息もつかずに一気に読んでしまい、通勤の電車でしか読んでいないのに、3日で読み終わってしまいました。
冒頭、ミスターキャベツなる人物からの挨拶があります。この本の主人公は偉大なマジシャンのなれの果て・・・水中脱出の際脳溢血を起こし、植物(キャベツ)人間になってしまった老人が語り手なのです。
植物人間になって目を動かすことしかできなくなったにもかかわらず、あまり悲惨さを感じさせません。割と元気みたいです。
そんな老マジシャンは息子とその嫁、嫁の弟と同居しています。車椅子に座るだけの存在ですが、息子は「マジックルーム」と呼ばれる奇術道具がいっぱいの部屋へいつも車椅子を押していってくれます。
そんなある日の出来事を書いているのですが、そこからがまったく奇想天外、本物のマジック顔負けの予想のつかない展開の連続です。
登場人物は、老マジシャン、父を継いで偉大なるマジシャンとなった息子のマックス、美人な妻カサンドラ、同居している妻の弟ブライアン、マックスのマネージャーのハリー、地元保安官のグローヴァーだけ。物語はは全て「マジックルーム」の中で進行していきます。
まず、カサンドラとその弟ブライアンが何か良からぬことを企んでいるシーンから始まり、次にハリーが登場し、カサンドラと不倫関係にあることが判明します。そして、突如その場所に夫のマックスが現れます(劇的に・・・)。
この時点ですでに嵐の予感です。でもまだほんの序章。父である老マジシャンの座を継いだ偉大なるマジシャン、マックスはなぜか体の具合が悪く、マジックも以前の用にできなくなっています。そして破れかぶれなのか、マジックショーを演じているのかまったく分からない狂ったような行動に走りだす!
作中では、マジックの原理や考え方などにも触れています。ネタバラシにつながる部分も若干ありましたが、う~ん、許容範囲なのかな・・・・。ステージでの立ち振る舞いとか、なかなかマニアックな内容も。手品をやったことのない人も、マジシャンがどんなことに気をつけているかが少し分かるのではないでしょうか?
起こった事件だけを見れば、醜い人間の壮絶な争いで実際殺人も起こります。でも奇術師が絡むことによってどれが現実で、どれが幻想なのか分からないまま、次々と展開していくので、成り行きを見守ることしかできない老マジシャンの言葉を借りれば、「気持ちはヨーヨーのごとく宙ぶらりんだ。あがったりさがったり、出たり入ったり・・・」といった感じです。本当に最後まで油断できません。
ラスト、この前代未聞の残酷な物語が終わったとき、ささやかな奇跡が起こります。読者を散々振り回す物語ですが、次にどちらに曲がるか分からない、まるでスペースマウンテン(ディズニーランドのジェットコースター)に乗ったような爽快感が味わえるのではないでしょうか。
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